生命保険料控除
個人が生命保険に加入し、生命保険料を支払った多くの場合、その保険料は生命保険料控除の対象になります。この生命保険料控除とは個人の所得控除の1つであり、適用されるとその分課税所得が減少され税金が軽減されます。
- 生命保険料控除
- 一般生命保険料控除(控除限度額 所得税:50,000円、住民税:35,000円)
- 個人年金保険料控除(控除限度額 所得税:50,000円、住民税:35,000円)
※両方の適用を受けると所得税で最高100,000円、住民税で最高70,000円の控除を受けることができます。
税制改正
2009年度、2010年度の税制改正により、2012年以降は下記のように改組されることになりました。
- 生命保険料控除
- 一般生命保険料控除(控除限度額 所得税:40,000円、住民税:28,000円)
- 個人年金保険料控除(控除限度額 所得税:40,000円、住民税:28,000円)
- 介護医療保険料控除(控除限度額 所得税:40,000円、住民税:28,000円)
※新制度における生命保険料全体の控除限度額は所得税で120,000円、住民税で最高70,000円となる予定です。
2011年以前の生命保険料控除
一般生命保険料控除
- 対象となる保険契約
個人が保険料を支払う契約で保険金等の受取人が、保険料負担者本人またはその配偶者もしくはその他の親族となっている契約になります。
- 対象となる保険種目
-
終身保険、定期保険、養老保険等の生命保険分野に属するものや税制適格でない個人年金、税制適格の個人年金に付帯された特約等の保険料
- 医療保険、がん保険、介護保険、所得補償保険等の保険料
※傷害保険料は一定の経過措置が適用される場合を除き、保険料控除の対象外
- 対象とならない保険種目例
- 団体信用生命保険
- 保険契約が5年未満の貯蓄保険
- 財形貯蓄に利用される生命保険(財形貯蓄積立保険、財形住宅貯蓄積立保険、財形年金積立保険、財形年金保険)
- 対象となる保険料
- 原則としてその年の1月1日から12月31までに支払った保険料
- 契約者配当金が支払われた場合は、保険料から配当金を差し引いた正味支払い保険料
- 一時払保険料は、保険料を支払った年に限り(1回だけ)、となります
- 前納保険料については前納保険料のうちその年に見合う額
- 自動振替貸付の保険料も、通常どおりの払込がなされている場合と同様に考えます
一般生命保険料控除の額
表1:所得税の生命保険料控除額(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)
控除対象保険料 |
控除額 |
25,000円以下のとき |
全額 |
25,000円を超え 50,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 12,500円 |
50,000円を超え 100,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 25,000円 |
100,000円を超えるとき |
一律50,000円 |
表2:住民税の生命保険料控除額(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)
控除対象保険料 |
控除額 |
15,000円以下のとき |
全額 |
15,000円を超え 40,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 7,500円 |
40,000円を超え 70,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 17,500円 |
70,000円を超えるとき |
一律35,000円 |
個人年金保険料控除
- 対象となる個人年金契約
税制適格個人年金契約(個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金契約)
(主な要件)
- 年金受取人は保険料負担者またはその配偶者であること
- 年金受取人は被保険者と同一人であること
- 保険料支払期間については、年金支払開始前10年以上にわたって定期的に支払をするものであること
- 年金受給期間は、10年以上または終身であること
- 終身年金以外の場合、年金支払開始日における年金受取人の年齢は60歳以上であること
- 対象となる保険料
原則としてその年の1月1日から12月31までに支払った保険料
税制適格でない個人年金、税制適格の個人年金に付帯された特約等の保険料は原則として、一般生命保険料控除の対象となる
個人年金保険料控除の額
表3:所得税の生命保険料控除額(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)
控除対象保険料 |
控除額 |
25,000円以下のとき |
全額 |
25,000円を超え 50,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 12,500円 |
50,000円を超え 100,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 25,000円 |
100,000円を超えるとき |
一律50,000円 |
表4:住民税の生命保険料控除額(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)
控除対象保険料 |
控除額 |
15,000円以下のとき |
全額 |
15,000円を超え 40,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 7,500円 |
40,000円を超え 70,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 17,500円 |
70,000円を超えるとき |
一律35,000円 |
2012年以降の生命保険料控除
一般生命保険料控除
- 対象となる保険契約
上記一般生命保険料控除と同様
- 対象となる保険種目
上記一般生命保険料控除と同様。ただし、医療保険、介護保険などの第3分野の保険は対象外
- 対象となる保険料
上記一般生命保険料控除と同様原則としてその年の1月1日から12月31までに支払った保険料
一般生命保険料控除の額
表5:所得税の新生命保険料控除額(一般生命保険・個人年金保険・介護医療共通)
控除対象保険料 |
控除額 |
20,000円以下のとき |
全額 |
20,000円を超え 40,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 10,000円 |
40,000円を超え 80,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 20,000円 |
80,000円を超えるとき |
一律40,000円 |
表6:住民税の新生命保険料控除額(一般生命保険・個人年金保険・介護医療共通)
控除対象保険料 |
控除額 |
12,000円以下のとき |
全額 |
12,000円を超え 32,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/2) + 6,000円 |
32,000円を超え 56,000円以下のとき |
(控除対象保険料×1/4) + 14,000円 |
56,000円を超えるとき |
一律28,000円 |
個人年金保険料控除
- 対象となる個人年金契約
上記個人年金保険料控除と同様
- 対象となる保険料
上記一般生命保険料控除と同様原則としてその年の1月1日から12月31までに支払った保険料
- 個人年金保険料控除の額
表5、表6による算出額
介護医療保険料控除
- 対象となる保険契約
上記一般生命保険料控除と同様
- 対象となる保険種目
傷害保険を除く第3分野の保険、医療保険(特約)、がん保険(特約)、介護保険(特約)、所得補償保険(特約)等
- 対象となる保険料
上記一般生命保険料控除と同様原則としてその年の1月1日から12月31までに支払った保険料
- 介護医療保険料控除の額
表5、表6による算出額
適用時期と経過措置
新しい生命保険料控除制度は2012年以降に締結した契約に適用され、2011年12月31日以前の契約については従前の制度が適用されます。
表7:新旧両制度を利用する場合の生命保険料控除限度額(所得税)
控除限度額 |
区分 |
従来の制度のみ |
新制度のみ |
両制度を利用する場合 の各控除合計限度額 |
(A)一般生命保険料控除 |
50,000円 |
40,000円 |
40,000円 |
(B)個人年金保険料控除 |
50,000円 |
40,000円 |
40,000円 |
(C)介護医療保険料控除 |
- |
40,000円 |
40,000円 |
合計(A+B+C) |
100,000円 |
120,000円 |
120,000円 |
表8:新旧両制度を利用する場合の生命保険料控除限度額(住民税)
控除限度額 |
区分 |
従来の制度のみ |
新制度のみ |
両制度を利用する場合 の各控除合計限度額 |
(A)一般生命保険料控除 |
35,000円 |
28,000円 |
28,000円 |
(B)個人年金保険料控除 |
35,000円 |
28,000円 |
28,000円 |
(C)介護医療保険料控除 |
- |
28,000円 |
28,000円 |
合計(A+B+C) |
70,000円 |
70,000円 |
70,000円 |